本がもっと楽しくなるBOOK RACK。デザイナーインタビュー【FULLSWING】

2023.12.26 デザイナーズ家具

BOOK RACKは東京のデザイン事務所「FULLSWING」が2006年に製造販売スタート。2023年よりWOWにて製造・販売を手掛けることになりました。そこで今回は、デザイナーの佐藤界(さとう かい)氏にインタビューを行い、BOOK RACK誕生の背景に迫ります。

FULLSWINGデザイナー
佐藤界 氏

1976年東京都出身。住宅、店舗などの現場監理の経験を経て、設計事務所に勤務する。デザインから施工までを総合的に経験を積む。2003年よりFULLSWINGとして活動。

― BOOK RACKのデザインコンセプトとは?

コンセプトは「軽くてオープンな本棚」です。

一般的な本棚は、収納量に伴って強度が必要ですから、上面・側面・背面に板が張られています。そのためどうしても閉じられた構造になり、大抵の場合壁際に配置されます。

なので、空間を区切らず、開放的で圧迫感のない本棚を目指しました。側板や上部の板などを取払い部材を減らすことで軽くオープンな印象になり、脚のみで支えられている棚板は、揺れているブランコのような浮遊感があることも特長です。

― こうしてみてみると、BOOK RACKは、本を少し置くだけでも十分にインテリアになると思いました。一般的な本棚は、本を一杯にして棚を埋めないと物足りなさを感じることが多いのですが。

一般的な本棚は収納量が大事かと思いますが、BOOK RACKは、収納以外のところも大事に考えています。棚板に傾斜をつけることでインテリアとしてお気にりの本の表紙を飾れたり、背表紙が見やすく取り出しやすくなっています。

また、空間のどこに置いても使えるように背面まで仕上がっているので、壁際の配置以外にもいろいろな使い方ができます。

例えばパーティションのように並べて空間を仕切ったり、背中合わせで配置すると回遊できるように使えます。ホームユース意外にも図書館や公共空間などでレイアウトを自由に考えて使ってもらえたら嬉しいです。

― BOOK RACKは、本が好きな人の“かゆいところに手が届く”家具ですね。

本を読む、本をしまう意外にも「本を飾る」楽しみを感じることができると思います。

天板がなく、背板が低いため、棚が明るく見える。細かい工夫が、本を飾る愉しみをもっと豊かにしてくれる。

差し色にもなっているブックエンドもとても印象的です。「背板に引っ掛けるブックエンド」は、とても使いやすいなと思いました。

特徴の一つになっているブックエンドは、スチール製で背板に引っ掛けて使用します。

棚板が傾斜してるので本の自重が背板側にかかり、その荷重を活かしながらズレづに自由な位置で仕切れます。また、素材のコントラストが生まれ良いアクセントになってるかと思います。

BOOK RACKが生まれたのは2006年ですが、こうして振り返ってみて、何か思うところはありますか?

2006年から、今年(2023年)で17年が経ちますが、永くデザインや仕様を変更することなく、さらにWOWさんに製造してもらうことになってもそのまま再現できたのは素直に嬉しいです。

細かいところでは脚のジョイントの部分がフィンガージョイントになり強度が増し、塗装はウレタン塗装になったので摩耗や耐久性も上がりました。製造する工場が変わったことでブラッシュアップができとても良かったです。

BOOK RACKには普遍的なデザインの力が宿っているのだと思います。今回はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

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