女性家具デザイナーの先駆者 ナナ・ディッツェルの作品に潜む魅了を紐解く

2024.02.01 デザイナーズ家具
女性家具デザイナーの先駆者 ナナ・ディッツェルの作品に潜む魅了を紐解く

1950年代は、北欧デザインがひとつの全盛期を迎えた時代です。

ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールなどの巨匠と呼ばれるデザイナーをはじめ、多くのデザイナーが活躍しました。

今回は、そんな当時の北欧デザイナーの中から、ナナ・ディッツェルという人物をご紹介します。

実は旭川ともゆかりのある北欧デザイナー「ナナ・ディッツェル」について、彼女の残した功績やデザインの特徴、代表作などから紐解いていきます。

1972年創業の旭川の家具メーカー「WOW」は、デザイン賞を受賞したデザイナーと共同製作した家具を取り扱っております。そんな作り手であるWOWが、「デザインの歴史」を紐解き、学びながら、「デザインとは何か」「いい家具とは何か」「これからの時代に求められる家具とは何か」を見つめ直すことには、大きな意義があるのではないか。私たちはそう考えています。

ナナ・ディッツェルというデザイナー

ナナ・ディッツェル(Nanna Ditzel 1923-2005)は、デンマーク・コペンハーゲン出身のデザイナーです。

高校卒業後、養成学校で家具職人としての腕を磨いたのち、1943年に美術工芸学校(The School of Arts and Crafts)へ入学し、本格的に家具デザインを学びます。

コーアクリントに師事

美術工芸学校の在学中にはコーア・クリントの授業にも出席し、クリントに師事していた時期があります。

コーア・クリントとは、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンなどの名だたる北欧デザイナーに多大な影響を与えた人物です。彼の伝統を重視した家具デザインの哲学は、彼に影響を受けたデザイナーによって数々の名作椅子を生み出しました。

ただし、一度はクリントに師事したナナも、その後は自由でモダンなデザインに方向を変えるようになります。

夫ヨルゲンとの共同活動へ

1946年に美術工芸学校を卒業すると、同級生だったヨルゲン・ディッツェルと結婚します。そして、ヨルゲンと共に夫婦でデザイン事務所を設立し、共同で家具デザインの活動を進めていきました。

設立後すぐに数々のコンペにおいて受賞を獲得するようになります。コンペの受賞は家具だけでなく、テキスタイルや器、アクセサリーなどあらゆる分野で実績を重ねていきました。

あまりにもコンペの成績が良いあまり、周りのデザイナーからも疎まれるほどだったそうです。

ナナはヨルゲンと共に夫婦で精力的に多くのデザインを生み出してきました。しかし、1961年にヨルゲンが死去してしまいます。その後、ロンドンで家具販売を行うカート・ハイドとの再婚によりロンドンへ移住します。代表作であるトリニダードチェアはロンドン時代に生まれたデザインです。

ロンドンでも変わらずデザインの仕事を続け、1986年にはデンマークに拠点を戻します。そして2005年に息を引き取るまで多くのデザインを生み出しました。

ナナ・ディッツェルの受賞歴
  • ルニング賞(1956)
  • ミラノトリエンナーレ 金賞(1960)
  • ND54が Danish Culture Canon に選出
  • 第一回国際家具デザインコンペティション旭川 金賞(1990)

ナナ・ディッツェルが北欧デザインに与えた影響

多くのデザイナーが活躍した20世紀半ばの北欧において、ナナ・ディッツェルがもたらした影響も多大なものでした。ナナ・ディッツェルという女性と

大胆なデザイン

ナナのデザインは、従来の様式や伝統に縛られることのない、大胆で挑戦的な発想によって生み出されています。

先述の通り、かつてはコーア・クリントに師事し伝統を重んじるデザイン方法論を学びましたが、卒業後にヨルゲンと共同で活動するようになってからは、自由でモダンなデザインへと方向を移しています。

特にナナのデザインの特徴として、「自然の美しさ」を取り入れている点が挙げられます。

彼女が手がけてきた多くのデザインには、自然界にある草花や生き物たちの美しさが鮮やかに表現されていることが見てとれます。

女性家具デザイナーという地位の確立

ナナ・ディッツェルは、20世紀半ばという北欧デザイン全盛の時代において、最も活躍した女性デザイナーだと言えます。

ステレオタイプではない大胆かつ有機的なデザイン・アイデアは、現代に至るまで多くの人を魅了しただけでなく、以降の女性デザイナーが活躍する土台を築き上げた点も高く評価されています。

ナナ・ディッツェルの代表作

ナナ・ディッツェルの手がけた数あるデザイン家具の中から、代表的なアイテムをご紹介します。

ND54

今では伝統的なフォルムのハイチェア「ND54」は、子供用家具の名作として現代でも

ヨルゲンとの間に生まれた双子の姉妹がアイデアの基となり、子どもが座るのに必要な機能が、取り入れられています。

リビングやダイニングのインテリアを損なわないデザイン性も、高い評価を得ている理由のひとつです。

このチェアは、デンマークの偉大な文化遺産である「Danish Culture Canon」に選ばれている作品です。

ハンギングエッグチェア

ハンギングエッグチェア
引用元

1957年にヨルゲンとの共作でデザインされたハンギングエッグチェアは、その名前にあるとおり、卵のフォルムをした椅子を吊り下げるという前衛的なチェアです。

このデザインは、現代のインテリア空間でも目を惹きつけるアクセントになるほどの存在感を持ちます。また、素材は籐を使用しているので、日本の居住空間にも調和できる椅子です。

トリニダードチェア

トリニダードチェア
引用元

背もたれと座面それぞれに、まるで彫刻品のように美しく施された扇状の模様が特徴的なチェア。これは、ナナがカリブ海トリニダードドバゴを旅した時に見た建築様式からインスピレーションを得てデザインされたものです。

扇状に掘り込まれた模様は、トリニダードドバゴに生息する鳥がモチーフになっていると言われています。

ベンチ・フォー・トゥー

ベンチ・フォー・トゥー
引用元:IFDA公式サイト

背もたれ部分に施された螺旋模様が特徴的なベンチチェア。

まるで1人掛けの椅子を2脚くっつけたような大胆なフォルムは、蝶の美しさから着想を得て表現したと言われています。

このチェアは、旭川家具デザインコンペティション(IFDA)の第1回開催にて、金賞を受賞しています。

まとめ

今回は、ナナディッツェルという女性デザイナーの生い立ちや作品についてご紹介しました。植物や動物をを連想させる有機的なデザインは、半世紀以上経った現代でも世界中の人々に愛され、現代の家具デザインにも深く影響を与えています。

デザイナー家具の歴史を紐解くことで、これからのインテリア選びがもっと楽しみになるかもしれません。

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